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[丸尾結子]対談[水尻自子]#02「尻」とか「顔」とか「触り心地」とか

水尻:なんか、お尻っぽいけど、これはお尻?
丸尾:お尻。
水尻:お尻っぽいモチーフがなんかすごい多いんじゃないですか今回は。
丸尾:うん。確かに。最近割と多い、です。
水尻:顔があるのとないのとでは何か違いっていうか、あるの?
丸尾:だんだんないものも増えてきたみたいな感じで。あるものの方が、表現したいものが割ともっと抽象的になってきた。
水尻:私が描くのは顔ないじゃん、ほぼ。私も感触的なものってあんまり感情的なものはいらないと思ってて、感情的なもの入れるとなんかすぐ意味のあることになっちゃいそうだから、できるだけそこを排除してやりたくて。だから顔ってやっぱり感情が一番出るから、それを出すのはなんとなくやめようっていうか顔は出さないで部分的に体のパーツだけを使うみたいな、そういう感覚に近いですかね。あんまり感情的なものを出さないように、なんかそのパーソナリティをあんまり出さずにそういう形だけを抜き出したいみたいな。。。ではない?
丸尾:それとはちょっと違うかな。感情を伝える伝えないじゃなくて、感情は伝わって欲しいというか、あるんだけど、目とかをつけるとそういうキャラクターっていうかそういう生き物なんだっていう安心感じゃないけど、そういったものになるから、、、
水尻:「はいっ、こういうキャラクターです!」みたいに納得しちゃうみたいな?
丸尾:そう。で、それがいいこともあって、たとえば見た人にとってその世界観を共有しやすいとか、作ってる時にそういった温かさを伝えたいっていう時はそういう表情も含めて表現したいっていうのがあるし。表情がないものは逆に表情つけちゃうと安心しちゃうというか、ああ、どこかで見たことあるかもみたいな。目があって表情とか感情とかある子はどこかで見たことあったような感じだったとしても、その安心感みたいなものを含めてその子らしさなんだけど、最近のはそうじゃなくて、そうじゃないけど感じるっていうものになって欲しいっていう感じかな。
水尻:いらないものを削ぎ落とした、みたいな?
丸尾:いらないもの…より感覚だけ伝えたいみたいなのには近いのかもしれないけど、一番伝えたいその存在感を出したいっていう時に、顔があるとちょっと違う意味が出ちゃう、みたいな。
水尻:私の作品に顔はほぼ出てこないですね。感覚的なことを伝えたいので、顔ってやっぱり感情が出るからそれがやっぱりできるだけ出ないようにするために出来るだけ顔は出ないようにする。最初っからそれを意識してやってたわけじゃないんですけど、まあやっていくうちにそういうことかなって。
私の場合はそもそも人間一体描く技術がないっていう、技術の問題があるからね。だって私勉強してないからさ、アニメーション。で、画力もそんなにないし、まぁだから、パーツパーツでしのいでるみたいなことなんだけど。もうそれ言ったら身も蓋もないっていう感じなんだけど。
丸尾:私が作品を作ってる時に、この曲線のラインは絶対これじゃないみたいなのがあって、そこにすごい時間かかる。私の場合は立体だから、どの角度でも絶対良くなきゃダメで…
水尻:すっごい難しいそれ〜!しかも立たなきゃいけないっていうことでしょ?超難しいじゃん。
丸尾:そう、それが多分アニメーションで水尻さんが表現したいこのすっごい微妙なぷるんという表現だったり、微妙な柔らかいラインだったりとかを作ろうとしてる感覚と、結構近いんじゃないかなって思う。自分がすっごい気持ちよくて、しっくりくるところまで終わりじゃないみたいな。
水尻:この線じゃない、とかってあるもんね。難しい、造形やるの。
丸尾:いや〜、私アニメーションでできないもんな。私は映像やってた時に、アニメで実際描くってすっごい大変だと思っていて。私の場合はペンで描いて撮影して動きを出すより立体で作ってちょっと動かしてっていう、自分の触りごこちで調整した方がわかりやすくて。それを写真に撮って、並べて時間にしたら、あ、ちゃんと思った通りの感触の動きになった、みたいなほうが向いてる。それで、すごい嬉しそうなニュアンスとか、なんかムニュムニュしてるその感じとかを伝えたい時に、立体を作ってそれがいるだけだと伝わらないから、アニメーションにしなくちゃって思って、じゃあここまで撮るかみたいな。
だからその時点ではあんまりコマ撮りにしてちゃんとしたストーリーの作品を作ろうっていう意識がなくて、立体の子がムニュムニュワシャワシャ震えるのをまずは感じたくて作って、それをまあ映像作品にするからストーリーにするみたいな。
水尻:あ、動きからなんだ。物語が先にあると思ってた。
2-04
丸尾:そうでもなくて物語は割と漠然と最初にある。でもそれより先に細かいそこでのやり取りのニュアンスみたいな、そういうのをやりたい。で、そういうのを全て通す時に全体の世界観とか、どういうストーリーかって作っていく。大きなストーリーは後でだんだん、やってくうちにだんだんできてくる。一人いたら、仲間がいるはずだからって増えていくみたいな。じゃあそこに誰がくるかなって考えて増えてくるみたいな。
水尻:この新作を作り始めた時にはこの形が明確には浮かんでないってこと?
丸尾:明確には浮かんでない。以前に作った作品では浮かんでるのもあるんだけど、最近の作品はやってる中で変わっていってる。
水尻:丸尾さんの初期の作品って結構なカラフル具合じゃない。今はこういう白っぽい感じだけど何か思いは?
丸尾:その頃、色をはっきりつけていたのは、それ自体を作品として残すっていうよりも、それが例えば撮影されて映像とか写真の中に収まった時に伝わるって意識があって色は必要だった。でも立体の作品として作るってなった時に、それをやりすぎちゃうとそれこそキャラクターぽいものとかだったら、そういうものですよっていう感じになっちゃうというか。白いままの方が見る人が色々想像したり、なんなんだろうって入っていけるかなって思ってそういう風になって。でも最近はちょっと色を使っていて、具体的なストーリーっていうよりは、逆にもうちょっと抽象的なエネルギー感ていうか存在感を出したいって思って色をつけたりとかして。
水尻:もしこういうものが実際存在していたとしたら、これ柔らかいよね?
丸尾:うん。柔らかそうだね。
水尻:プニュプニュみたいな、違う?そこまでは決めてない?柔らかいと思う
丸尾:柔らかいと思う?柔らかそう?
水尻:うん。柔らかそう。
丸尾:触りたいってよく言われる
水尻:色については、丸尾さんの理由とはまた違うかもしれないけど、私のは線が命だから、線でその動きとかを全部描いているからそこは一番大事で、それに負けるような強い色をのせちゃうと線が死んじゃうから、どんどん薄くなっていってあんな感じになっちゃうんだけどね。なくてもいいっちゃいいんだけど。まぁちょっとはあった方がいいかなみたいな。
丸尾:じゃあその線で表現したい感覚に一番フィットする、邪魔じゃない加減。
水尻:そう、このくらいならよく見えるだろうみたいな。
丸尾:だからあんまり振れないんだ?全く違う組み合わせにはならない。
水尻:そうそう、色々細かく、こっちをもっと薄くとか濃くとかやってるんだけど、結局あんな感じになっちゃうんだよね。
丸尾:私が作っているもののことどう思いますか?率直に。結構変化してると思うんだけど、水尻さんはすごい表現変わらないなって思ってて。私から見ると、モチーフも変わらないし。だけどその変わらない中に、見た時に感じる、その感触が深くなってるみたいな。モチーフは変わらないけど作品の中に入って入った時に伝わる距離がすごく短くなって、どんどん深くなってるんだろうなっていう印象があるんですけど。

水尻:丸尾さんのは変わってるといえば変わってるし、変わってないといえば変わってないけど…動いたらいいのになみたいな。最初アニメーションやってるの見てたから、動いて欲しいな〜みたいなのはずっと思ってる。新作いつかな〜みたいな。
丸尾:映像としての?
水尻:アニメーションの新作いつかな〜みたいな。でもやっぱすごいこの曲線は感じるものはある。本当に選び抜かれた曲線だなっていうのはすごい伝わるから、好きだよねやっぱり。なんか動かしたいよね、私が。線でよければ。2Dでよければ。(笑)
 
 
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