[丸尾結子]対談[水尻自子]#04 「喜び?」とか

水尻:最近、一番新しい作品さ、色々構成しすぎて、そのストーリーがあるんだかないんだかみたいな感じじゃん。本当はあるのかなあみたいな。その含み持たせるのすら嫌になってきて、本当はないから。本当はこうなのかなって思われること自体はいいけど、こういう意味なんですか?とか本当はどういうメッセージ性なんですかとか聞かれるのすごい嫌い。ないからね。だからそこをどうやって解消していこうかなみたいな感じ。そのストーリー性とかメッセージ性とか見える気配すら消したいみたいな。もっと感覚的なものに集中していく。
丸尾:やったことで、作品が出来上がって、あ、自分ってこうだったんだってわかることとかあるの?
水尻:うーん、いや、それはあんまりないかな。作りきったー!で、人に見てもらうまであんまり自信ないし、自分でもわけわかんないものができたっていうのが毎回だから、恐怖。できた瞬間恐怖。
丸尾:それは人の感想とかもらってちょっと安心したりするの?
水尻:そうだね。特にガビンさんとかね。でもそれがだんだん薄まってきたかも。最近の作品、一番新しいのを作り終えた時、結構わけわかんないものできたけど、これでいいんだって。たとえガビンさんが、あんまりって言ったとしても私はこれがいい、これで作りました、みたいなことを言えるように最近なってきた。師匠離れできてきた。丸尾さんはあるの?
丸尾:私は作りながら、あ、私ってこういうこと思ってるんだ、っていうのを結構思いながら作ってる。
水尻:例えば?
丸尾:あ、こういうことに興味あるんだとか、私結構最初のスタートがすごい感覚的で、「なんでそれを作るんだろう」。っていうのをやりながら、考えながらやってるみたいなところがあって、やる前よりもやった後の方が、私ってそういうのが好きなんだ、みたいな。あんまり自分で自分のことわかってなくて。やって出来上がると自分が、あ、そうなんだ〜みたいな感じ。へえ〜って思う。
水尻:へー、いいな〜。作品を作るごとに自分が知れていくんだ。
丸尾:そう、私ってこんなの作るんだ〜、みたいな。
水尻:それでわかるのすごいね。全然私はわからないよ。
丸尾:でもそれでいいって思ってるんだもんね。
水尻:そう、自分をあんまわかりたくないからね。(笑)
丸尾:最初から商業向けじゃない、世の中にないものを映像で表現しようとしてて、で、それは、やめたくはならないの?よりそれをやりたいっていうのもやっぱ自分の中で…
水尻:そうだね。それしかないからね。自分にフィットするものが。今のところそれが一番。アニメーションを作ることが一番自分にフィットしていることだから、そりゃ作るの苦しいけど、でもそれやめたら何にもない、喜びも苦しみもないみたいな。無になっちゃうんだよね。
丸尾:喜びなの?
水尻:喜びだね。苦しいけど。そうでしょ?
丸尾:じゃあ作ってることがもう喜びなのね。出来上がって何かを知れるとかじゃなくて。私の場合はさ、作りながらも知っていくみたいな、自分の感覚に出会うみたいな。それは一緒かな。
水尻:そうだね。作ることが一番というか結構重要。できたものも重要だけど、アニメーションが好きだからやってるわけじゃなくて、アニメーション見るのあんまり好きじゃないし、自分が作ることが重要。生み出す、みたいな。生み出す作業が自分の中の一番の喜びかな。それしかやることがない。やれることが。でもすごいそれってさ、自分がやりたくて、やれて、自分が一番情熱を注げることを見つけれてることはすごいハッピー。ラッキーだし。だから続けていくしかないかなって。丸尾さんはどうですか?
丸尾:作ってるの楽しいです。
水尻:作ってるの楽しいもんね。それしかないぐらいかな。
丸尾:作りながら、楽しさが変わっていってる感じはする。でもちょっと楽しいだけじゃないつらい気持ちにもなるけど、そういう自分を知れるみたいな。そういうのは自分も作ってるからすごい感じるなって。新しい自分の感情に出会うみたいな。
水尻:それが一番快感ていうか、それが欲しいからやってるって感じだよね。やめらんないっすよね。
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